たからもの


宝物
 これは某銀行で使われていた大型計算機の部品の一部で、私の宝物の一つです。 とは言っても値段的には二束三文なものでしょう。金額より想い出の宝物と言ったところです。

 当時私は銀行オンラインシステムの開発・保守を行っていました。 その中で、某銀行のシステムを新しい計算機に替える作業を担当していました。
 ある日、新しいシステムの保守で銀行を訪れると、「明日、この古い計算機は撤去される」との話を聞きました。 計算機は買取であったため、スクラップ業者に引き取ってもらうそうです。 長年活躍してきた計算機も、ただのゴミになってしまうのは寂しいものです。 この計算機は導入当初から付き合って来ていたもので、よけいに感慨深いものがありました。 でも、撤去される前日にここに呼ばれサヨナラできたのも、何か因縁深いものを感じます。
 スクラップされるだけだから「何でも好きなのを持って行ってもいいよ」とのことでした。 さっそく物色して、思い出になりそうなものを貰い受けました。 さすがにこの計算機の銘板「HITAC 8500」は既に取り外され、銀行の頭取に渡されていました。 今でも何処かに飾ってあるのでしょうかね・・・


コアメモリ
 これはコアメモリです。と言っても今じゃ知ってる人もそう居ないでしょう。ましてや写真では見たことがあっても実物を見たことがある人は少ないと思います。
このコアメモリの中を私が作ったプログラムが動いていたかもしれないと思うと、ちょっと感激ですね。
 コアメモリは、ドーナツ型をした磁気コアの穴の中に人の手で一つ一つ3本の線を通し、編むようにして作ってます。 って言ってもよく判らないですよね。写真をよく見ると、黒い丸いものが見えますね。これが磁気コアです。 でも実は4つの磁気コアが並んでて丸く見えてるだけで、実際はこれの1/4のこのぐらいの小ささです。 直径は、これだけです。
 このコアメモリ一つが1KB(1024バイト)の容量なので、実に磁気コアが10,000個近くあるわけです。この当時メモリの値段が高かったのもうなずけますね。 この1枚が16枚重なって16KBとなり、さらにそれが4個四角に配置され64KBとなって一つの箱に収められていました。 周りは配線だらけで、取り出すだけでもかなりの時間を費やしたことを覚えています。 この時の計算機の最大メモリ量が512KBです。したがって64KBメモリの箱が8個あったわけで、かなりの大きさが必要となります。今ではPCでも512MB(512,000KB)など当たり前で、実に1000倍の容量があるのに手のひらに乗る大きさだから、技術の進歩は凄いものですね。


ディスクヘッド
 これは集団ディスクの書き込み/読み込みを行うヘッドです。
直径14インチ(約35cm)の磁気ディスク板が11枚重なって一つのディスクパックとなっていました。 (H-8577 集団磁気ディスク駆動装置の拡大写真を見ると、中に何枚か重なってるのが見えると思いま。それがディスクパックです)
 高さも20cmちょっとあったでしょうか、とっても重く大きい割りには容量は30MBでした。今と比べると驚くほど少ないですね。

ラインプリンタ制御板
 これはラインプリンタの文字制御板です。
活字ドラム(1周に250種あまりの活字が配置され、それが横に132列並んでる)が回転し、該当文字が紙の上に来たときハンマーで叩いて印字するための制御をしていたものです。
 活字ドラムが1周して1行が印字できたわけで、印字速度は遅く、ジャッジャッジャッジャッと大きな音を立ててました。
カードリーダ
 これはカードリーダのカードのジャムり(紙づまり)を検知するランプです。
左側にカードをセットし、読まれたカードは右側の所に出てきます。エラーとなったカードは右側の反対側に排出され停まります。停まった時に、ここにカードが排出されていない場合は、ジャムっている時です。
 カバーを開け、グシャグシャになって使えなくなったカードを見たときは泣いたものです。
 額には入れらず別な所にしまっていたのが見つかりませんが、磁気テープ装置の一部もありました。 H-8453 オープンリール磁気テープ装置の拡大写真を見てもらうと、ガラス窓の中、真ん中左側にある丸いものでした。磁気テープの動きを制御してたと思います。
 最初の頃はオートストレッディング(テープ自動装填)が無かったので、自分で磁気テープを装着していました。 いかに早く装着するかをよく競ったものです。
IC IC
 他の部品と違って接することが無かったので良くは判りませんが、計算機の本体の1部分です。
このような部品が幾つもびっしりと敷き詰められていました。



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